よく、採用人事は“人を判断するプロ”と思われますが、正直言いますと、“100人中1人いるかいないかの人”は、誰が面接しても疑いようがなく内定を出すレベルなので、その人を見つけることは誰でもできる簡単なことなのです。
採用人事が本当のプロフェッショナルかどうかは、
「“自社のブランド力”を正確に見極め採用戦略を設計するところ」と、
「採用母集団を大きくする仕掛け作り」
が最も重要なところです。
それぞれの企業が置かれている状況(内定予定人数は?自社の学生からの人気度合いは?)でどのように採用戦略を立てていくのか、ここであなたにしっかりと理解しておいてもらいたいことは、採用活動においては、
人気企業は
“いかにして100人中1 人の人を内定者として確保するのか”
ということを考えている。
ということです。
そして、100人中99%の人は、内定をもらうところまではいかず、
“その人のレベル”と、
(失礼なことを言ってごめんなさい。本当のところを理解してもらった方がいいですので…)
“企業のブランド力”が一致した企業から内定をもらうことができることになります。
※たとえば、100人中20番目の就職活動生であれば、20番目までを内定を出す対象にしている企業から内定をもらえます。
そこで、あなたが今、志望している企業はどういう企業なのかもう一度考えてみてください。
一部上場で、就職活動生であれば誰もが知っている企業であれば、ほとんどの場合はこの“100人中1 人いるかいないかの学生”にしか内定を出さない企業だと思います。(1000人以上の内定者を出す一部金融業界を除きます。)
恐らくあなたはそういう人気企業を志望していますよね。
ということは、あなたは“100人中1 人いるかいないかの内定レベルの学生”である必要がありますが、どうでしょうか?
客観的に自分のレベルを知ることは難しいと思いますので、
“100人中1 人いるかいないかの人”
というのがどういう人なのか、イメージを持ってもらうために説明しますと、“100人中1 人いるかいないかの人”というのは、
“どこの業界の、どこの人事が面接しても落ちることがない人”です。
あなたも、先輩や大学の就職課の人などに、こんなことを聞いたことがあると思います。
「受かる人はどこを受けても受かる」と。
これは事実です。
こういう人が“100人中1 人”くらいいるのです。
人気企業の採用人事は、こういう人に最終的に内定を出そうとしますし、人気企業同士でこういう人の奪い合いをします。
ここまでの説明までで、あなたにはもう一つ疑問が湧いてくると思います。
人気企業であれば、内定予定人数に合わせたエントリー数(=採用母集団)だけを確保すれば良いだけなのに、なぜ何十倍もの就職活動生をエントリーさせる必要があるのか?
例えば、上記でいうと、60人の内定予定人数であれば、一次面接に進む学生は600人確保すればいいのですが、にも関わらず、その会社にエントリーしている学生は40000人にもなっています。
実に66.6倍です。
一次面接受験者として確保しないといけない人数の66.6倍です。
したがって、筆記試験での合格率は、下記の計算式の通り、1.76%に設定せざるを得なくなるのです。
40000人(エントリー人数)×85%(筆記試験受験率)=34000人(筆記試験受験者数)
600人(筆記試験通過人数)÷34000人(筆記試験受験者数)×100
=1.76%(筆記試験合格率)
これは1.76%という合格率を最初に決めているわけではなく、一次面接の日程と、対応できる社員の人数を考え、さらに上記のように内定予定人数から一次面接を受けてもらうべき人数を計算して、600人前後を一次面接の対象人数としていますので、結果的に1.76%という非常に低い数字になっているのです。
では、先ほどの質問に戻りますと、600人に一次面接を受けてもらい、60人の内定者を確保するために、なぜ66.6倍の40000人もの就職活動生にエントリーさせるのか?
ここまで理解していただいたあなたならもうお分かりだと思いますが、人気企業であれば、優秀な学生を内定予定人数だけ確保することはとても簡単なことです。
にも関わらず、企業はより多くの人に、自社にエントリーしてもらうことを促がしていきます。
ここからが就職活動業界全体の構図を理解するために、重要なことになってきますので、しっかり、理解して下さいね。
なぜ99%の人が第1 志望の会社から内定をもらえないのか?
筆記試験を受かって面接を受けにくる就職活動生が100人いたとすると、内定を出すレベルの人は1 人いるかいないかということです。
したがって、
採用予定人数50人(新卒入社予定数)、内定予定人数が60人(内定辞退者も含めた内定を出す人数)であれば、600人は一次面接に送り込む必要があり、
その600人に対応する一次面接官(現場社員)を確保する必要がある。
という計算をして、筆記試験・一次面接のスケジュールを練っていきます。
例えば、40000人が自社の採用ホームページにエントリーしている場合は、
希望する人には全員筆記試験を受けてもらい、一次面接に進む学生が600人になるように、筆記試験の上位1.5%に入っている人から、どんどん一次面接に進んでもらいます。
そして、一次面接での合格率を70%程度に設定して面接をして、
(現場社員の面接の採点はばらつきが激しく、内定レベルの学生を落としてしまう可能性もあるので、合格率は高めに設定します。)
600人×70%=420人
二次面接で420人を面接するように設定します。
二次面接からは、採用人事の人間で対応する場合がほとんどですので、ここから数回、人事での面接を通してスクリーニングして、最終的にこの“100人に1人の内定を出すレベルの人”に内定を出すわけです。
つまり、
筆記試験:
40000人のうち希望者全員が受験。(大体85%が受験するので34000人)
合格率は1.5%に設定
一次面接(一般社員):
600人が受験。合格率は70%に設定
二次面接(人事):
420人が受験。合格率は30%に設定
三次面接(人事部課長レベル):
126人が受験。合格率は60%に設定
最終面接(役員面接):
75人が受験。この中から60人を選ぶ。合格率は80%
という感じで、次の通りです。
エントリー者(=採用母集団):40000人
筆記試験受験者:34000人
一次面接受験者:600人
二次面接受験者:420人
三次面接受験者:126人
最終面接受験者:75人
内定者:60人
しかし、もちろんこれらは統計上の大体の目安です。
筆記試験・一次面接・二次面接・三次面接は同時並行で進めていきますので、それぞれの試験結果を見て、次のステップの人数が足りていなければ、前のステップの合格率を高めますし、予想以上に次のステップに人数が進んでいれば前のステップの合格率を低くします。
これが、人事がどうやって人数を絞っていくのかということです。
これを見てもらえればわかる通り、企業が行う採用活動は、最初から、“100人中1 人いるかいなかの内定レベルの人”をどのように絞り込んでいくのかということを基準に行っています。
これが就職活動生が多くエントリーする人気企業の思考回路です。
そして、人気企業でない企業の場合、“100人中1 人いるかいないか”の人は他の企業に取られてしまいますので、例えば、自社のブランド力から100人中5番目までの人が自社にきてくれそうであれば、5番目までの人をいかに確保するのかという流れになりますので、内定レベルの人は“100人中5人いる”という前提で戦略を練っていきます。
内定予定人数がかなり多い企業であれば、例えば、100人中10番目までをいかに確保していこうかという流れになります。
メンタルで勝つ
採用面接で何度も落とされている人は自信がありません。
そのため、質問に対して堂々と答えられなかったり、自信がないと不安な顔をしてしまう人がいます。
私は自信がありませんと言う人を採用したいと思うでしょうか。
自信過剰もよくありませんが、明るく前向きな人を採用したいのはどこの会社も同じです。
仕事内容が未経験でも採用される人は、やる気まんまんで挑戦意欲たっぷりのタイプです。
面接では圧迫面接といって、実際にはないことも聞かれることがあります。
例えば転勤希望ではない場合でも、転勤可能ですか?
希望の仕事が違った場合どうですか?
それはあなたの仕事に対する考え方をみていたりすることが多いのです。
物事が柔軟に捉えられる人かどうかを試したりしているので実際に !
入社してからそうなるとは限りません。
入社してから現場で「面接の時こういいましたよね」と言われることはありませんから、「はい、大丈夫です。」と自信を持って答えてください。
「絶対に受かる」
「私は自信がある」
「私は採用される」
など、自分を奮い立たせる言葉を心の中でつぶやいてみてください。
人脈を使う
中高年になればある程度の人間関係ができています。
自分が入りたい会社の関係者がいれば、情報収集することも大事です。
私は以前同僚が退職して次の会社に行ったとき、その会社の仕事に興味があったので、次の採用募集があったら教えて欲しいと頼んでおきました。
それから半年が過ぎ、すっかりお願いしたことも忘れていましたが、
来月募集が始まりますよとその方から連絡がありました。
再就職支援会社の営業職で、条件は4大卒で営業職は男性ばかりとのことでした。
私は短大卒で女性です。
それでも諦めきれず、その方に履歴書、職務経歴書の添削をしていただきました。
また、書類を郵送ではなく、その方に採用担当者に直接手渡ししていただき何とか面接までこぎつけました。
面接の想定問答も作り、スーツも靴も新調し万全で臨みました。
それでも社長面接ではこの営業は女性には難しいよと社長からはかなり厳しく言われました。
「女性だからできないとは思っておりません。女性だからこそできる営業もあると思いますのでぜひ挑戦させてください。」
と強きな姿勢をくずしませんでした。
入社してから教えてもらったことは、履歴書は230通届き、面接したのは30人だったこと。
上司になった部長からは
「女性だから多分無理だけど、せっかくだから面接だけしてあげましょう。とお情けでの1次面接だったんだよ。でも面接後の評価がすごく良かったので、社長面接のあと私が彼女を責任持ちますよと言うことで採用しました。」
と言われ努力して面接に臨んだ甲斐があったと感じました。
自分の転職活動がその後の仕事にとても役立ちました。
【面接までこぎつける方法を探してみましょう。】
採用条件が多少違っても諦めず挑戦してみる。
学歴について気になるところがあれば電話で担当者に確認してみる。
中小企業であれば直接社長宛に書類を送る。
採用担当者と懇意の人にお願いしてみる。
面接はどこの会社も大体同じような内容です。
面接官は限られた時間の中でその人となりを見極めるプロです。
事前にできることはしっかりと準備し、当日は心に余裕を作って面接にのぞみましょう。
面接で答えるときは、話を短くまとめる
中高年の方はご自身の職務経験が長いと話をまとめられず、ダラダラと話してしまいがちです。
例えば、
「今までのご経験を教えてください。」
と言われ
大学を卒業してからの仕事内容を延々としゃべる方がいますが、話が長すぎると聞いている側はウンザリです。
面接官は大勢の人と1日中面接しますので、要点を上手くまとめ簡潔に話せるように練習しましょう。
120%で臨む
万全を尽くして臨んでも採用されるとは限りません。
ですが、120%位努力してもダメなら、縁がなかったとあきらめがつきませんか。
会社のビルに入る時から堂々と姿勢よく歩きましょう。
面接時は大きな声で明るくハキハキと答えましょう。
人はパッと見で印象を決めることがあります。
その印象が面接の最後まで継続すれば、好印象が残ります。
面接さえよければ受かるわけではありません。
例えば会社の外でタバコを吸って、溝にタバコの吸殻を捨てるところを見られているかもしれません。
トイレで清掃員の人に悪態をついたところをその会社の社長に見られて落とされた人もいます。
せっかく面接までたどり着けたわけですから、つまらないことで落とされることのないよう気をつけましょう。
【面接に行く前にチェックしてみましょう】
① 寝ぐせはついていませんか。
② ヒゲのそり残しはありませんか。
③ 鼻毛出てませんか。
④ 唇はカサカサではありませんか。
⑤ 爪はきれいですか。
⑥ ハンカチはしわくちゃではありませんか。
⑦ ワイシャツはきれいにシワが伸びてますか。
⑧ スーツはピシっと決まっていますか。
⑨ 靴はすり減っていないきれいな状態ですか。
⑩ 持っているカバンはくたびれていませんか。
面接に向けた事前の準備
履歴書、職務経歴書はあなた自身のパンフレットです。
自分を売り込むものですから、過去の仕事内容をしっかり棚卸をして、自分の強みを訴えかけなければなりません。
私は転職活動をするときにやったことは、本屋さんに行って履歴書、職務経歴書の書き方、面接に関する本を片っ端から読みました。 !
ずーっと同じ本屋さんでやっていたら嫌がられるので、本屋さんを梯
子してかなりのノウハウを詰め込みました。
どの本も大体同じことが書かれていますので、1冊買うよりペラペラ
めくってここはと思うところだけ記憶すれば良いのです。
家に帰ってからそれを整理して必要なことをノートにまとめておく
のです。
例えば想定問答集を作る。
面接では「え~」とか「あ~」とか「・・・!」無言では落とされますよね。
こんな質問がきたらこう答えると事前にしっかり準備しておけば心に余裕ができます。
面接の相手はただのおじさん
面接は誰でもある程度は緊張するものです。
ですから緊張しても問題はありません。
面接官も人の子です。 !
一緒に仕事をする仲間を求めているわけですから人間力をみていることが多いのです。
学ぶ姿勢があるか、努力できるか、素直に従える人か、前向きな人だろうか、メンタルに強いなどです。
出身大学が良いとか前職が一部上場企業など関係ありません。
中高年の方で管理職経験が長い方は、自分が面接を受ける立場であることを忘れてしまう方がいます。
椅子にふんぞり返って座る。
話し方が偉そう。
姿勢が悪い。面接に臨む態度になっていない。
あなたが面接官になったらどんな人を採用したいかと考えればわかりやすいですね。